毎日遅くまで働いていて、月の残業が150時間に近づいているなら、もう「忙しい時期だから」で片づけていい状態ではありません。体が慣れてしまうと感覚が麻痺しますが、残業150時間は36協定の上限や過労死ラインの観点から見ても、かなり危険な働き方です。
この記事では、残業150時間がなぜ危険なのか、36協定・過労死ライン・残業代・証拠保存・相談先・退職代行まで、現実的に何から動けばいいかを整理します。今すぐ会社と戦うためではなく、まず自分の命と生活を守るために読んでください。
- 残業150時間は36協定の上限を大きく超える危険な水準
- 過労死ラインと比べても体調悪化を待ってはいけない状態
- 証拠保存は退職・相談・未払い残業代のすべてで重要
- 労基署、相談窓口、弁護士、退職代行を順番に使い分ける
残業150時間が危険な理由

まず押さえたいのは、残業150時間は「ちょっと多い」ではなく、法的にも健康面でも危険信号が何重にも点灯している数字だということです。会社が「今月だけ」「みんなやっている」と言っても、その言葉で上限規制や体の限界が消えるわけではありません。
36協定の上限を超える理由
36協定があると、会社は一定の範囲で時間外労働を命じられます。ただし、36協定は「無制限に残業させていい許可証」ではありません。原則の限度時間は月45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がある場合でも、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内といった上限があります。
この基準と比べると、月150時間の残業は明らかに別次元です。単純に月45時間の3倍以上であり、特別条項を前提にしても、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満というラインを大きく超えます。会社が「36協定を結んでいるから大丈夫」と説明してきても、150時間という実態があるなら、その説明をそのまま信じるのは危険ですね。
| 項目 | 目安 | 残業150時間との比較 |
|---|---|---|
| 原則の上限 | 月45時間 | 3倍以上 |
| 特別条項の月上限 | 100時間未満 | 大幅に超過 |
| 2〜6か月平均 | 80時間以内 | 継続すれば危険水準 |
もちろん、医師・建設・自動車運転など一部の業務では上限規制の扱いが通常と違う場面もあります。それでも「例外だから150時間でも安全」という話にはなりません。実務上の判断は業種や勤務実態で変わるため、給与明細・勤怠記録・雇用契約書をそろえたうえで、外部窓口に確認するのが堅いです。
同じテーマで詳しく確認したい方は、社内に36協定が見当たらないときの判断をまとめた36協定がない会社で残業はできる?確認ポイントも参考になります。
過労死ラインとの危険な差
過労死ラインとしてよく語られるのは、発症前1か月でおおむね100時間、または発症前2〜6か月平均で月80時間を超える時間外労働です。これは「その時間までなら安全」という意味ではなく、脳・心臓疾患などと業務の関連性を考えるうえで非常に重い水準とされています。
残業150時間は、月100時間の目安をさらに50時間も上回ります。50時間というと、平日だけで考えても毎日2時間以上の残業が上乗せされる感覚です。つまり、過労死ラインを超えた状態から、さらにもう一段階深く働かされているイメージですね。睡眠時間、食事、通院、家事、家族との会話、全部が削られていきます。
私が一番怖いと思うのは、本人が「まだ倒れていないから大丈夫」と思ってしまうことです。長時間労働は、ある日突然分かりやすく壊れるというより、少しずつ判断力を奪っていきます。残業時間を減らす交渉、休む判断、病院に行く判断、退職を切り出す判断ができなくなるほど、心身の余白がなくなるんです。
もし今、休日に寝ているだけで終わる、仕事の夢を見る、家に帰っても通知が怖い、という状態なら、残業時間の数字だけでなく体のサインも証拠としてメモしてください。体調の変化は、産業医・心療内科・労基署・弁護士に相談するときにも状況説明の材料になります。
会社の義務と罰則を知る
会社には、従業員が安全に働けるよう配慮する義務があります。残業150時間のような状態を放置しているなら、単に「忙しい会社」ではなく、労働時間管理や安全配慮に問題がある会社と考えた方がいいです。上司個人が優しいかどうかではなく、会社の仕組みとして止められていないことが問題なんですね。
上限規制に違反すれば、会社は是正勧告や行政指導の対象になり、悪質な場合は罰則や送検リスクもあります。労働基準監督署がすぐに全てを解決してくれるとは限りませんが、証拠がある状態で相談すれば、少なくとも「会社の説明だけが正しい」という状況からは抜け出せます。
- 管理職だから残業時間は関係ない
- 固定残業代を払っているから問題ない
- 自分で残っているだけだから会社は知らない
- 繁忙期だから今だけ我慢してほしい
こうした言い訳が出てきたら、口頭で反論するより、まず事実を集めた方が強いです。勤怠記録、PCログ、業務チャット、メール送信時刻、上司の指示、給与明細、シフト表。これらを時系列で並べるだけで、会社が「知らなかった」と言いにくくなります。
また、管理職扱いされている場合でも、実態として経営者と一体の立場にないなら、労働時間や残業代の問題が残ることがあります。肩書きだけで諦める必要はありません。自分で判断しきれない部分は、資料を持って外部窓口に見てもらうのが現実的です。
残業代と固定残業代の注意
残業150時間という働き方が違法レベルで危険だとしても、働いた分の残業代が消えるわけではありません。法定労働時間を超えた労働には割増賃金が発生しますし、深夜労働や休日労働が重なれば計算も変わります。むしろ長時間労働の現場ほど、未払い残業代が大きくなりやすいです。
固定残業代がある会社でも、「固定残業代に含まれる時間」を超えた分まで無料になるわけではありません。たとえば固定残業代が月30時間分なのに、実際は150時間働いているなら、差分の120時間分が問題になります。求人票や雇用契約書に固定残業代の金額・時間数が明記されているかも確認しましょう。
| 確認するもの | 見るポイント |
|---|---|
| 給与明細 | 基本給、固定残業代、深夜手当、休日手当 |
| 雇用契約書 | 固定残業時間と超過分の扱い |
| 勤怠記録 | 実際の出退勤時刻と休憩時間 |
| 業務ログ | 深夜・休日の指示や作業実態 |
ここで注意したいのは、会社にいきなり「未払いですよね」と詰め寄るより、先に資料をコピーしておくことです。退職後に勤怠システムへ入れなくなる、メールが見られなくなる、チャット履歴が消される、ということは普通にあります。退職を考えているなら、なおさら先に証拠を確保してください。
固定残業代の見抜き方は、固定残業代はやばい?求人票で見抜くブラック企業のサインでも詳しくまとめています。今の会社だけでなく、次の求人を選ぶときにも役立つ観点です。
限界サインを見逃さない
残業150時間で一番優先すべきなのは、会社の改善より先に自分の安全です。もちろん、制度上は会社が労働時間を管理し、健康を守るべきです。でも現実にその会社が止めてくれていないなら、自分側で「もう危ない」と線を引く必要があります。
分かりやすい危険サインは、睡眠、食欲、感情、体の痛みに出ます。眠いのに眠れない、休日も動けない、突然涙が出る、通勤中に動悸がする、ミスが増える、誰とも話したくない。こうした状態は、怠けではありません。働きすぎで判断力と回復力が削られているサインです。
- 朝、体が動かず出勤準備に時間がかかる
- 仕事の通知音だけで心拍が上がる
- 休日に寝ても疲れが抜けない
- 食事や入浴が面倒になっている
- 消えたい、逃げたいという考えが何度も出る
特に「消えたい」「事故に遭えば休めるかも」といった考えが出ているなら、記事を読み終えるより先に、医療機関や身近な人へ連絡してください。労働問題の解決も大事ですが、命が残っていないと何もできません。会社への義理や納期より、あなたの安全の方が優先です。
仕事が限界かもしれない人は、仕事を休みたい精神的に限界なあなたへ|サインと正しい休み方も先に読んでください。退職や転職の前に、まず休む判断が必要な場合もあります。
残業150時間から身を守る手順

ここからは、残業150時間に直面している人が、今日から何をすればいいかを順番に整理します。理想論としては会社が改善すべきですが、今この記事を読んでいるあなたに必要なのは、会社を正す前に自分を守る具体策です。
証拠を今日から保存する
残業150時間の相談で最初に必要になるのは、気合いではなく証拠です。口頭で「毎日遅いです」と言うより、出退勤時刻、業務指示、深夜のメール、休日のチャット、給与明細がそろっている方が圧倒的に強いです。自分の記憶だけに頼ると、疲労で日付や時間が曖昧になります。
保存するものは、タイムカード、勤怠システムの画面、PCログ、メール送信履歴、チャット履歴、シフト表、業務日報、給与明細、雇用契約書、就業規則などです。スマホで撮影する場合は、日付や時刻が分かるように撮り、可能なら月ごとに整理しておきます。自分用のメモでも、毎日継続して残していれば状況説明に役立ちます。
- 出勤・退勤時刻が分かる記録
- 上司からの深夜・休日指示
- 給与明細と雇用契約書
- 体調不良や通院の記録
- 相談した日時と相手のメモ
ただし、証拠集めのために会社の機密情報や顧客情報を無断で持ち出すのは避けてください。必要なのは、あなたの労働時間や指示の事実を示す範囲です。迷う場合は、画面全体を保存する前に、個人情報や取引先情報が映り込まない形で記録する、または相談先に「どこまで保存していいか」を確認しましょう。
退職を決めたあとでは、社内システムに入れなくなることがあります。だからこそ、限界を感じた今日から保存を始めるのが大事です。完璧にそろえる必要はありません。まず1週間分でも、直近1か月分でも、残せるものから残してください。
社内相談前に準備すること
人事、上司、産業医、コンプライアンス窓口など、社内に相談先があるなら使う価値はあります。ただし、残業150時間まで放置されている職場では、社内相談だけで一気に解決するとは限りません。相談した事実が上司に伝わる、部署内で気まずくなる、曖昧に丸め込まれる、というリスクもあります。
社内相談をする前に、伝える内容を紙やメモアプリにまとめておきましょう。「何がつらいか」だけでなく、「何月に何時間残業した」「何時まで勤務した日が何日ある」「体調にどんな変化が出ている」「どの業務が原因で減らせない」のように、事実ベースで整理します。感情的に責めるより、会社が無視しにくい材料を出す方が効果的です。
| 相談相手 | 向いている内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 直属上司 | 業務量や納期の調整 | 原因が上司なら逆効果もある |
| 人事 | 配置転換や勤怠管理 | 会社都合で処理される場合がある |
| 産業医 | 健康面の就業制限 | 面談記録の扱いを確認する |
| 外部窓口 | 違法性や未払いの相談 | 証拠があるほど話が早い |
私なら、社内相談と並行して外部窓口も調べます。社内に相談するなという意味ではありません。社内だけに期待しすぎると、動いてもらえなかったときに心が折れるからです。「社内で改善を求める道」と「外部に相談して自分を守る道」を同時に持っておくと、精神的にも少し楽になります。
労基署と外部窓口に相談
残業150時間で会社が動かないなら、外部の相談先を使ってください。労働基準監督署は、賃金未払い、違法な時間外労働、労働時間管理など、労働基準関係の相談先になります。どこに相談すべきか分からない場合は、総合労働相談コーナーや労働条件相談ほっとラインも入口になります。
厚生労働省は、労働基準監督署、総合労働相談コーナー、労働条件相談ほっとラインなどの窓口を案内しています。相談先を探すときは、厚生労働省の労働基準行政の相談窓口から確認すると迷いにくいです。
- 労基署: 違法な時間外労働や未払い残業代の相談
- 総合労働相談コーナー: どこに相談すべきか分からない時の入口
- 労働条件相談ほっとライン: 平日夜間や土日祝に電話相談したい時
- 弁護士: 未払い請求や会社との交渉を具体的に進めたい時
- 医療機関: 睡眠障害や抑うつなど体調に異変がある時
相談前に完璧な資料を作る必要はありません。ただ、勤怠記録、給与明細、雇用契約書、体調メモがあると話が進みやすくなります。「何を持って行けばいいか分からない」ときは、まず電話で確認しても構いません。相談した日付、担当窓口、言われた内容もメモしておきましょう。
弁護士に相談するのは大げさだと感じる人もいますが、未払い残業代や退職時のトラブルが絡むなら、早めに一度聞いておく価値があります。無料相談を使える場合もありますし、法的な見通しを聞くだけで「自分が悪いわけではない」と確認できることもあります。
退職代行と転職準備
残業150時間が続いている職場では、退職の意思を自分で伝える余力すら残っていないことがあります。上司に詰められるのが怖い、引き止めが激しい、体がもう出勤に耐えない。そういう状態なら、退職代行も現実的な選択肢です。退職代行を使うことは甘えではなく、直接交渉する体力がない人の退避ルートだと思います。
どうしても今すぐ辞めたい場合は、完全後払い制の退職代行「即ヤメ」も選択肢になります。

ただし、退職代行を使う前にも証拠保存は済ませておきたいです。退職の連絡後は、社内アカウントや勤怠システムにアクセスできなくなる可能性があります。未払い残業代、私物回収、有給消化、貸与物返却、離職票など、退職後に必要なものもメモしておくと慌てにくいです。
同時に、次の職場を探す準備も少しずつ進めましょう。今すぐ転職活動を完璧にやる必要はありません。まずは職務経歴書の材料をメモする、求人の残業時間を見る、転職サイトに登録して市場感を知るくらいで十分です。残業150時間の環境にいると「自分には価値がない」と思いがちですが、それは疲労で視野が狭くなっているだけかもしれません。
退職後の手続きや会社からの連絡が不安な方は、退職代行の後払いは安全?金欠でも辞める条件と注意点も確認しておくと、退職代行を使う前の不安を整理しやすいです。
次の職場を探す準備も同時に進める
20代・第二新卒なら、長時間労働で疲れ切る前に、相談できる転職支援を持っておくと選択肢を失いにくくなります。ウズキャリは20代特化、完全無料で相談できます。
残業150時間から抜けるまとめ
残業150時間は、努力で美談にしていい数字ではありません。36協定の上限、過労死ライン、会社の安全配慮、未払い残業代、どの角度から見ても危険な状態です。会社が「今だけ」と言っても、あなたの体が壊れてからでは遅いです。
今日やることは、大きな決断でなくて構いません。まず勤怠記録と給与明細を保存する。体調の変化をメモする。相談先を1つブックマークする。信頼できる人に「残業が150時間近い」と伝える。それだけでも、何もできずに耐え続ける状態から一歩抜け出せます。
- 直近1か月の勤怠と給与明細を保存する
- 体調不良と勤務時間を同じメモに残す
- 社内相談と外部相談の両方を用意する
- 退職代行や転職準備を逃げ道として持つ
仕事は大切です。でも、会社のために命や健康を差し出す必要はありません。もし今、残業150時間の中で正常な判断ができなくなっているなら、この記事を閉じたあと、まず証拠を1つ保存して、誰か1人に相談してください。小さな行動でいいので、自分を守る方向へ体を動かしましょう。

