家族の介護が始まり、仕事を休む必要がある。でも、給料が減ったら家賃や生活費を払えるのか。職場に迷惑をかけたくない社畜ほど、自分の収入の相談を後回しにしてしまいがちですね。
介護休業給付金は、雇用保険の要件を満たして家族の介護のために休業する人を支える制度です。支給額は原則として休業前の賃金を基にした67%ですが、会社からの賃金や働いた日数で変わります。会社に休業を申し出ただけでは、給付の申請まで済んだことにはなりません。
この記事では、受給条件、金額の見方、申請期限、入金までの家計の備えを順番に整理します。制度は2026年10月19日時点の厚生労働省・ハローワークの案内を確認しています。個別の受給可否や計算は、勤務先を管轄するハローワークで確かめてください。
- 雇用保険の加入歴と家族の状態を分けて受給条件を確認できる
- 67%の計算例と会社から賃金が出る場合の調整が分かる
- 休業終了後の申請期限と本人・会社が用意する書類を整理できる
- 給付の入金前に必要な生活費と社会保険料を見積もれる
社畜が介護休業給付金を受け取る条件

休む制度と給付の手続きを分ける
まず分けたいのは、会社で介護休業を取得することと、雇用保険の介護休業給付金を受けることです。休業を認められても、加入歴などの給付条件を満たすかは別に確認します。反対に、給付の相談をしただけで職場の休業手続きが済むわけでもありません。
介護休業給付金は、要介護状態の家族がいる人全員に一律で出るお金ではありません。働いている人が家族の介護のために休業し、雇用保険の条件を満たした場合の給付です。家族が受ける介護保険サービスの利用料を、そのまま立て替えて払い戻す制度とも違います。
人事には「介護のために休みたい」だけでなく、「介護休業の取得と介護休業給付金の申請を相談したい」と制度名まで伝えましょう。休業の担当者と給与・雇用保険の担当者が別なら、両方につないでもらいます。開始予定日、終了予定日、対象家族との続柄があると話が進めやすくなります。
通院の付き添いなど短い休みを検討している場合は、サイト内の介護休暇の条件と申請の進め方も確認できます。介護休暇は別の休暇制度なので、無給の時間があるからといって、この給付へ自動的に切り替わるわけではありません。
休業は介護を一人で抱え続けるためだけの期間ではなく、サービスや家族の分担を整える時間にも使います。会社への申出の基本は、厚生労働省の介護休業制度特設サイトで確認できます。
雇用保険の加入歴を確認する
給付の基本となるのは、介護休業を始める前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が通算12か月以上あることです。ここで数える月は、単純な1月・2月という暦の月や、今の会社に在籍した月数と同じとは限りません。休業開始日を基準にした区切りを会社と確認します。
11日以上ある月だけでは12か月に届かない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある完全月を用いる扱いがあります。短時間勤務だから対象外だと自己判断せず、賃金台帳や出勤簿から確認してもらいましょう。11日と80時間を、すべての月で両方満たすという意味ではありません。
正社員という肩書だけで決まる給付でもありません。パートや契約社員でも、雇用保険の被保険者として条件を満たすかを調べます。給与明細の雇用保険料欄は確認の入り口になりますが、それだけで必要な加入期間まで証明できるわけではありません。被保険者番号と加入の記録も人事に照会してください。
転職歴がある場合は、前職の在籍期間、退職日、今の会社の入社日、過去の基本手当等の受給資格決定の有無をそろえて相談すると整理しやすいです。「現職で1年働いていないから無理」「保険料を引かれているから必ず出る」という結論を急がないことが大切です。
本人の病気やけがなどで、引き続き30日以上賃金を受けられなかった期間がある場合は、確認対象期間が延びることがあります。個別の経歴を含む基準は、ハローワークの雇用継続給付の案内と窓口で確認しましょう。
家族の状態と契約期間を確認する

対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。配偶者には事実上の婚姻関係にある人、父母・子には養父母・養子が含まれます。家族なら範囲を問わず対象になるわけではないので、続柄を先に整理してください。
家族の状態については、負傷、病気、身体や精神の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とすることが基準です。この「2週間」は、本人が必ず14日以上連続して休まなければならないという意味ではありません。条件を満たす家族のための短い介護休業が、給付の対象になる場合もあります。
たとえば、家族には継続的な介護が必要でも、本人が休むのは入退院に伴う調整の10日間、という状況です。必要な状態が続く期間と、本人が仕事を休む期間を別々に説明すると、窓口が確認しやすくなります。単なる病名だけでなく、歩行・食事など何に支援が必要かを整理しておくとよいですね。
契約期間に定めがある人には追加条件もあります。介護休業開始予定日から93日を経過する日を起点に、さらに6か月を経過する日までに、更新後を含む契約が満了することが明らかでないことが必要です。「契約書に終了日がある」という一事だけで結論を出さず、更新の予定や条件を示して確認しましょう。
現在の契約書、更新通知、更新に関する説明を手元にそろえ、「この契約関係で給付対象になるか」と質問してください。家族の条件と有期契約の条件を一度に曖昧に聞くより、不明点を分けたほうが確認漏れを防げます。
93日と3回の枠を家族ごとに見る
支給の対象は、同じ家族について通算93日まで、3回を限度とする介護休業です。毎年度93日ずつ増える枠ではなく、状態が変われば必ず最初から取り直せるものでもありません。以前その家族の介護で給付を受けたことがある人は、支給決定通知書の期間・日数を会社に伝えましょう。
分けて取得するなら、1回目は退院後の生活を整え、2回目は施設やサービスの変更に対応する、といった予定を家族や会社と相談できます。ただし、期間の決め方は介護の見通しに合わせて考え、給付を最大まで使うことを先に目的にしないほうがよいです。
給付額は、休業開始日から区切る1か月ごとの「支給単位期間」で計算します。多くの期間は支給日数を30日としますが、休業終了日を含む最後の期間は、その期間の日数で扱います。土日を除いた出勤予定日だけを足す計算ではありません。休業期間の数え方と給付の計算日数も取り違えないようにします。
「残り何日あるか」を自分のカレンダーだけで確定させず、前回までの支給日数と取得回数を担当者に照会しましょう。別の家族の介護休業や育児休業などが始まると扱いが変わるため、途中で予定が変わった場合も申請前に共有します。
休業中の賃金と就業日数に注意する

「介護休業中だから必ず67%」ではありません。休業の期間を対象として会社から賃金が出る場合は、その額によって給付が調整されます。比較する基準は、休業開始時賃金日額に支給日数を掛けた額です。以下は、上限等にかからず、その基準額が30万円となる支給単位期間の例です。
| 会社が払う賃金の例 | 基準額に対する割合 | 給付の計算例 |
|---|---|---|
| 3万円 | 10% | 67%相当の20万1,000円 |
| 6万円 | 20% | 24万円から6万円を引いた18万円 |
| 24万円 | 80% | 給付は0円 |
賃金が基準額の13%以下なら原則67%相当、13%を超えて80%未満なら原則80%相当から賃金を引いた額、80%以上なら不支給という仕組みです。この表は会社の賃金と給付を別々に見るための例で、勤務先に一定割合の賃金を支払う義務が生じるという意味ではありません。
また、支給単位期間ごとに、就業したと認められる日数が10日以下である必要があります。最後の1か月未満の期間は、それに加えて全日休業した日が1日以上必要です。ほかの事業所で働いた日も含まれるので、休業中の副業を家計対策として始める前に確認してください。
10日以下という基準は、その範囲なら自由に出勤してよいという許可ではありません。休業中に会社から業務を頼まれたときは、対応の要否と勤怠の記録方法を確認します。短時間の対応でも日数判定に関わる可能性があるため、日時・内容を担当者へ正確に知らせましょう。
給与の振込日が休業中でも、休業前に働いた分である場合など、振込額と給付計算に使う賃金額は一致しないことがあります。明細の対象期間を確認し、自己判断で差し引かないでください。算定の仕組みはハローワークの介護休業給付金申請上の注意でも確認できます。
介護休業給付金の申請と家計の備え

67%の計算は額面賃金から始める
原則の計算式は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。休業開始時賃金日額は、原則として休業前6か月間の賃金総額を180で割ります。保険料などを引いた手取り額ではなく、控除前の賃金が基礎で、賞与は除きます。
計算の練習として、基礎となる6か月の賃金合計が180万円なら、180万円÷180=1万円が賃金日額の目安です。支給日数30日なら、1万円×30日×67%=20万1,000円となります。会社から休業期間分の賃金が出ず、ほかの支給条件を満たし、上限等にかからない場合の例です。
| 基礎となる月額賃金の目安 | 支給日数30日の給付例 |
|---|---|
| 20万円 | 13万4,000円 |
| 30万円 | 20万1,000円 |
| 40万円 | 26万8,000円 |
概算では、銀行に振り込まれた6回分をそのまま合計せず、会社が証明する対象期間と賃金を使います。賞与の振込を混ぜると見込みを高くしやすいので、計算の元にした給与明細を担当者へ示しましょう。計算と入金の扱いは、厚生労働省の介護休業給付Q&Aでも確認できます。
同じ賃金日額1万円でも、終了日を含む期間の支給日数が10日なら、単純計算では6万7,000円です。1か月未満の休業に対して、月額の給付例がそのまま満額出ると考えないようにしましょう。欠勤や賃金変動がある人の正式な額は、会社の証明書を基に決まります。
賃金日額や給付額には上限等があり、額は改定されます。月給が高い人ほど一律に額面の67%で見込まず、休業する時期に適用される限度額を確かめてください。本記事の試算を最終的な振込予定額として家計へ確定計上しないことが大切です。
公式の計算条件と最新版の資料は、厚生労働省の雇用継続給付の案内から確認できます。計算した概算額、会社から支払われる賃金の見込み、社会保険料等の支払いを別の欄にしておくと、使えるお金を見誤りにくくなります。
本人と会社の書類をそろえる

申請は原則として会社を通じて行いますが、本人が希望する場合は本人から手続きすることも可能です。ただし、自分で出せることと、会社の証明が不要なことは別です。本人申請を考える場合も、最初に管轄ハローワークへ必要書類と会社から受け取る書類を確認しましょう。
| 担当する内容 | 確認・用意する主なもの |
|---|---|
| 本人 | 休業の申出、対象家族の氏名・続柄等の確認書類、振込先、個人番号に関する必要事項 |
| 会社 | 休業開始時賃金月額証明書、賃金台帳、出勤簿などの記録 |
| 双方 | 支給申請書の休業期間・就業日数・支払賃金の内容確認 |
書類の省略が認められる場合や、状況に応じて追加確認が必要な場合もあります。住民票などを何通も取る前に、同一世帯かどうかや個人番号の届出状況を伝え、必要な範囲を確認すると無駄を減らせます。個人番号などの機微な情報は、会社が指定する安全な方法で渡してください。
人事への連絡は「給付金の申請担当者、本人書類の社内提出日、会社の申請予定日を教えてください」と具体化します。分割取得なら今回が何回目かも明記します。休業中に確認が来た場合の連絡先と、返答できる時間帯も決めておくと、介護中に会社からの連絡を見落としにくくなります。
申請書の確認では、休業開始日・終了日、賃金額、就業日数、本人名義の口座を一つずつ照合しましょう。正式な書類の一覧は、ハローワーク品川の介護休業給付申請の案内も参考になります。自社の管轄での案内を優先して準備してください。
申請期限と入金の起点を分ける
支給申請は、1回の介護休業ごとに、対象となる期間分をまとめて行う扱いです。原則として休業終了後に申請するので、休み始めた月の給料日に合わせて毎月入金される仕組みではありません。給与の代わりに同じ日へ振り込まれると考えると、生活費が不足しやすくなります。
通常の申請期限は、各介護休業の終了日の翌日から起算して、2か月を経過する日の属する月の末日までです。たとえば、2026年10月20日に休業が終わるなら、翌21日を起点に計算し、期限は12月31日となります。これは会社へ書類を渡す締切ではなく、ハローワークへの提出期限です。
会社の独自制度などで休業が3か月以上続く場合は、給付の申請上、休業開始から3か月を経過する日を基準にする扱いがあります。長く休めるから申請もすべて復帰後でよい、と判断しないでください。分割取得・月末開始などで日付が分かりにくい場合は、開始日と終了日を示して期限を確認します。
一方、入金の目安は支給決定日からおおむね1週間程度です。申請した日から1週間、休業が終わった日から1週間という意味ではありません。書類準備、会社の提出、ハローワークの審査という段階があるため、休業開始前に一律の入金日を決め打ちできません。
入金が見当たらないときは、まず会社へ申請済みか、提出日はいつか、不備照会や支給決定通知書が届いていないかを確認します。審査中なら、事業所を管轄するハローワークの案内に従って確認してください。個別の審査状況には本人確認等が必要で、電話で回答されない情報もあります。
期限を過ぎたことに気づいても、その場で諦めず、厚生労働省の雇用保険給付の時効案内を確認して速やかに相談します。2年の時効の範囲内なら申請できる場合がありますが、通常期限までの提出を前提に進めましょう。
非課税でも支出と保険料は残る

介護休業給付金は非課税ですが、受け取る全額をそのまま自由に使えるとは限りません。介護休業には、育児休業と同じ社会保険料免除の仕組みはありません。健康保険・厚生年金保険など、在職中に本人が負担する保険料の請求方法を会社へ確認する必要があります。
給与がなくて天引きできない期間は、会社へ直接振り込むのか、復帰後の給与で精算するのか、いつ、いくら払うのかを聞きます。給付金そのものに税金がかからないことと、すでに決まっている住民税などの支払いがなくなることも別です。毎月の引き落とし予定を見ながら確認しましょう。
家計は「休業中に必要な現金」と「給付後に残る収支」を二段階で考えると整理できます。たとえば、生活費・介護関連の支出・本人負担の保険料等を合わせて月25万円必要と仮定し、会社給与がない期間が2か月続く想定なら、入金前には50万円を立て替える計算になります。これは制度上の標準支給時期ではなく、家計を点検するための仮定です。
給付が30日分20万1,000円の条件で2期間あるなら、給付の概算合計は40万2,000円です。ただし、日数や賃金による調整がない前提の試算です。50万円を先に支払う例では、受給後も差額9万8,000円が残るため、「後で給付が出る」と「休業中に現金が足りる」は分けて見る必要があります。
家族側の年金や介護費用を、当然に自分の家計へ充てられるとも考えないでください。誰がどの費用を負担するのか、サービス開始時の一時費用があるか、家族の分担も含めて整理します。予定外の通院交通費などは別枠にして、試算額だけで預金を使い切らない計画にしましょう。
経済的支援と保険料の扱いは、厚生労働省の休業中の経済的支援の資料で確認できます。不足が見えたら、会社への精算時期の相談と、自治体・地域包括支援センター等での介護サービスの相談を早めに進めると、仕事と介護の両方の予定を調整しやすくなります。
介護休業給付金の確認から始めよう
介護休業給付金を受け取る準備では、最初に雇用保険の加入歴と対象となる家族の状態を確認し、次に休業期間・会社給与・申請担当者を具体化しましょう。給付の概算だけでなく、申請する日と入金までに必要な現金まで見通すと、休業中の不安を減らしやすくなります。
- 対象家族との続柄、介護が必要な状態、休業の開始日と終了日の希望
- 雇用保険の加入歴確認と今回までの介護休業給付の利用状況
- 会社から支払う賃金と社会保険料等の精算方法の確認
- 本人書類の提出日、会社の申請予定日、決定通知の受け取り方
仕事を続けるための制度なので、休業開始時点ですでに退職が予定されている場合などは対象の扱いに注意が必要です。途中で事情が変わったときも、退職や働き方を決める前に給付への影響を確認してください。休むことへの遠慮より、条件と数字を確かめることを優先して大丈夫です。
申請先は原則として勤務先の事業所を管轄するハローワークです。全国のハローワーク所在地一覧から窓口を調べ、開始予定日、加入歴、会社の担当者から聞いた内容を手元に置いて相談を進めましょう。

