「検討してみます」は断り文句？意味や対処法を完全解説

ビジネスシーンで上司・取引先から「検討してみます」という曖昧な返事を受け取り、その本音と建前が分からず、不安・悩みを抱えてしまった経験はありませんか。この言葉は、丁寧な断り文句として使われることもあれば、前向きに考えているサインの場合もあり、その判断は非常に難しいものです。

この記事では、「検討してみます」が持つ正しい意味や使い方、そして状況別の使い方を具体的な例文とともに解説します。さらに、敬語としての適切な言い換え表現や、実際に言われた際の対処法、返信メールの書き方まで、具体的なフレーズを交えて網羅的にご紹介します。この記事を読めば、もう「検討してみます」の一言に振り回されることはありません。

この記事で分かること

「検討してみます」が持つ本音と建前の見分け方
ビジネスで使える適切な言い換え表現や敬語の使い方
相手に言われた際の具体的な対処法と返信メールの例文
回答がない場合の効果的な催促の仕方

「検討してみます」の裏側と正しい使い方

「検討してみます」は本音か建前か？社畜が知るべき裏の意味
「検討させていただきます」との違いは？社畜のための敬語講座
「検討してみます」を言い換える！デキる社畜のビジネス日本語
「検討してみます」の英語表現、海外の社畜はどう言う？
類似表現「考慮」「熟考」との違い

「検討してみます」は本音か建前か？社畜が知るべき裏の意味

「検討してみます」という言葉は、ビジネスシーンで非常に頻繁に耳にしますが、その真意は一つではありません。これは、相手の提案や状況によって「本音」で前向きに考えている場合と、「建前」として丁寧に断っている場合の両方の可能性を秘めています。

まず、本音（＝ポジティブな意味）で使われるケースです。これは、提案内容に魅力を感じており、社内での承認や関係各所との調整が必要なため、即答できない状況が考えられます。例えば、「ありがとうございます。素晴らしいご提案ですので、ぜひ前向きに検討してみます」といった言葉に、明るい表情や具体的な次のアクション（「来週中には一度ご連絡します」など）が伴う場合は、ポジティブなサインと捉えて良いでしょう。

一方で、建前（＝ネガティブな意味）として、つまり「実質的な断り文句」として使われることも非常に多いです。相手の気分を害さずにその場を収めたい、角が立たないように断りたいという日本特有のコミュニケーション文化が背景にあります。この場合、「うーん、一旦検討してみます」のように歯切れが悪かったり、目を合わせなかったり、その後のフォローアップが全くなかったりするのが特徴です。

見分けるポイント

「検討してみます」が本音か建前かを見分けるには、言葉そのものよりも、相手の表情、声のトーン、そして具体的な期限や次のアクションを示唆する言葉があるかを注意深く観察することが重要になります。

WEBライターの視点

言ってしまえば、この言葉の裏を読むスキルは、日本のビジネスパーソンにとって必須の能力の一つです。言葉通りに受け取って待ち続けるのではなく、「これはどちらのパターンだろう？」と一歩引いて考える癖をつけることが、無駄な時間や期待を防ぐ第一歩となります。

「検討させていただきます」との違いは？社畜のための敬語講座

「検討してみます」と似た表現に「検討させていただきます」があります。この二つは、特に目上の方や取引先に対して使う際に、そのニュアンスと敬意の度合いが大きく異なります。

結論から言うと、「検討させていただきます」の方がより丁寧で、相手への敬意が高い表現です。

「検討します」は、「検討する」という自分の行為を丁重に伝えている丁寧語です。これ自体は正しい敬語ですが、状況によっては少し素っ気ない、あるいは一方的な印象を与える可能性があります。

一方、「検討させていただきます」は、「させてもらう」という謙譲語が使われています。これは「相手の許可を得て、自分（たち）が検討するという行為をさせてもらう」という、へりくだったニュアンスを含みます。これにより、相手の提案や意見を尊重し、それを自分の元へ持ち帰る許可をいただく、という謙虚な姿勢を示すことができます。

「ご検討してみてください」はNG？

相手に検討をお願いする際に「ご検討してみてください」という表現を使う人がいますが、これは文法的に間違いではありませんが、ビジネスシーン、特に目上の方には避けるべきです。尊敬語の「ご検討ください」と、丁寧ですがやや砕けた印象の「～してみてください」が混在しており、冗長で敬意が低い印象を与えかねません。シンプルに「ご検討いただけますと幸いです」や「ご検討のほど、よろしくお願いいたします」とするのが最も適切です。

このように、自分が検討する立場の場合は「検討させていただきます」を、相手に検討をお願いする場合は「ご検討ください」を使うのが、ビジネスにおける敬語の基本と覚えておきましょう。

「検討してみます」を言い換える！デキる社畜のビジネス日本語

「検討してみます」は便利な言葉ですが、毎回こればかり使っていると、思考が停止している、あるいは真剣に対応していないという印象を与えかねません。状況に応じて他の表現を使い分けることで、より的確に意図を伝え、相手に好印象を与えることができます。ここでは、ビジネスで役立つ言い換え表現をいくつかご紹介します。

スクロールできます

言い換え表現	ニュアンスと使い方	丁寧さ
一考いたします	「一度、考えてみます」というニュアンス。「検討」よりも少し軽い印象ですが、謙虚な姿勢を示せます。「ぜひ一度考えてほしい」という気持ちを伝えたい時に便利です。	★★★☆☆
考慮いたします	ある特定の要素や条件を「含めて考える」というニュアンスが強いです。「ご提示の条件も考慮し、判断いたします」のように、判断材料を意識させたい時に使います。	★★★★☆
熟考させていただきます	「十分に、深く考えさせていただきます」という意味。「検討」よりもさらに時間をかけて、慎重に判断するという意思表示になります。重要な案件に対して使うと効果的です。	★★★★★
社内で協議いたします	自分一人では決められないため、会社に持ち帰り関係者と話し合う必要があることを明確に伝える表現です。判断に時間がかかることを具体的に示唆できます。	★★★★☆

これらの言葉を使い分けることで、「ただ先延ばしにしているわけではなく、真剣に物事を考えている」という姿勢を相手に示すことができます。例えば、即答できない理由を具体的に示す「社内で協議いたします」は、相手に安心感を与える効果的なフレーズです。

「検討してみます」の英語表現、海外の社畜はどう言う？

日本のビジネスシーンにおける「検討してみます」の曖昧なニュアンスは、海外、特に英語圏のビジネス文化では通用しにくいことが多いです。海外では、より直接的で明確なコミュニケーションが好まれるためです。しかし、同様に「即答を避けて考える時間をもらう」ための表現は存在します。

ここでは、状況に応じた英語表現をいくつか紹介します。

一般的な「考える」

シンプルに「考えます」と伝えたい場合は “I’ll think about it.” が使えます。ただし、これは少しカジュアルで、文脈によっては「あまり乗り気ではない」というニュアンスを含むこともあります。

丁寧な「検討する」

ビジネスシーンでより適切なのは “I will consider it.” や “We will take it into consideration.” です。”consider” は “think about” よりも「考慮に入れる」「じっくり考える」というフォーマルな意味合いが強くなります。

具体的な英語フレーズ

Let me look into that.
「その件、詳しく調べてみます」という意味で、調査や確認が必要な場合に使えます。
We’ll review your proposal.
「ご提案をレビュー（精査）します」という意味で、提案書などを受け取った際に適しています。
I’ll need to discuss this with my team.
「チームとこの件について話し合う必要があります」と具体的に理由を述べることで、単なる先延ばしではないことを示せます。これは「社内で協議いたします」に近い表現です。

注意点

海外のビジネスパートナーに対してこれらの表現を使った場合は、必ず期限を設け、その期限内に何らかの回答をすることが日本以上に重要視されます。「検討します」と言ったきり連絡をしないのは、信頼を大きく損なう行為と見なされるため、注意が必要です。

類似表現「考慮」「熟考」との違い

前述の通り、「検討」には「考慮」や「熟考」といった類似表現があります。これらの言葉は似ていますが、それぞれニュアンスが微妙に異なるため、正しく使い分けることが大切です。

「検討」とは

まず「検討」は、「物事を様々な角度からよく調べて考える」という基本的な意味を持ちます。良い点・悪い点、リスク、コストなど、多角的な視点から吟味するプロセス全体を指す、最も汎用性の高い言葉です。

例文：「いただいた資料を基に、導入の是非を検討します。」

「考慮」とは

「考慮」は、「判断を下す際に、特定の要素を判断材料の一つとして含めて考える」という意味合いが強い言葉です。何かに配慮したり、意向を汲んだりする場面でよく使われます。

例文：「皆様のこれまでの貢献度も考慮した上で、今回の人事を決定します。」

この場合、「貢献度」という特定の要素を判断材料に加える、というニュアンスが明確になります。

「熟考」とは

「熟考」は、その字の通り「時間をかけて、十分に、念入りに考える」ことを指します。「検討」や「考慮」よりも、思考の「深さ」や「時間の長さ」が強調されます。重要な決断を迫られた際に、慎重な姿勢を示すのに適しています。

例文：「会社の未来に関わる重要な問題ですので、一晩熟考させてください。」

使い分けのまとめ

・検討：調べる＋考える（オールマイティ）
・考慮：特定の要素を＋考える（判断材料を意識）
・熟考：深く/じっくり＋考える（時間と深さを意識）

これらの違いを理解し、文脈に合わせて最もふさわしい言葉を選ぶことで、より精度の高いコミュニケーションが可能になります。

「検討してみます」と言われた際の社畜術

【社畜必見】「検討してみます」と言われたら？絶望する前にできること
【例文あり】「検討してみます」への返信メール、社畜はどう書く？
「検討します」を連発する上司を動かす！社畜の交渉術
回答がない場合の丁寧な催促フレーズ
「検討してみます」と上手に付き合う術
総括：ビジネスでの「検討してみます」

【社畜必見】「検討してみます」と言われたら？絶望する前にできること

上司や取引先から「検討してみます」と言われてしまい、脈ナシかと絶望的な気持ちになることもあるでしょう。しかし、そこで思考を停止してしまうのは非常にもったいないです。その一言は、むしろ次のアクションを起こすためのスタートの合図だと捉えましょう。

まず最初に行うべきことは、相手の真意を探るための「確認作業」です。

具体的には、その場で次のような質問を投げかけることで、相手の温度感を測ることができます。

その場で確認すべきこと

検討の期限を確認する
「ありがとうございます。ちなみに、いつ頃までにご回答いただけそうでしょうか？」と、相手の予定を尋ねます。これにより、相手も「いつまでに返事をする」という意識を持つことになります。
懸念点や不足情報を確認する
「ありがとうございます。もし何かご不明な点や、ご検討にあたって懸念されている点がございましたら、お聞かせいただけますでしょうか？」と尋ねることで、ネガティブな理由で「検討します」と言っている場合、そのボトルネックを解消するヒントが得られる可能性があります。
追加で必要な資料を確認する
「ご検討いただく上で、他に何か必要な資料などがございましたら、すぐに準備いたしますがいかがでしょうか？」と提案することで、前向きな姿勢をアピールしつつ、相手の検討を後押しできます。

もちろん、相手が忙しそうだったり、明らかにその場を終えたい雰囲気だったりする場合は、これらの質問がしつこい印象を与えることもあります。その場合は深追いせず、「承知いたしました。お待ちしております」と一旦引き下がり、後述するメールでのフォローアップに切り替えるのが賢明です。

WEBライターの視点

大切なのは、ボールを相手に渡したままにしないことです。「検討します」と言われたら、相手が検討しやすいように、こちらから必要な情報や次のステップを提示する。この「お膳立て」ができるかどうかが、仕事がデキる人とそうでない人の分かれ道になることが多いです。

【例文あり】「検討してみます」への返信メール、社畜はどう書く？

「検討します」と言われた後、面談や会議の御礼も兼ねてフォローアップのメールを送るのは、ビジネスにおいて非常に有効な手段です。メールを送ることで、改めて内容を印象付け、相手の検討を後押しする効果が期待できます。

ここでは、状況に応じた返信メールの例文をいくつかご紹介します。

基本的な御礼メール

まずは、会議後などに送る基本的な御礼メールです。感謝を伝え、検討事項を再確認します。

件名：本日のお打ち合わせの御礼（株式会社〇〇〇〇）

株式会社△△
部長 △△ 様

いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。

本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。

〇〇の件につきまして、前向きにご検討いただけるとのこと、大変嬉しく存じます。
本日ご説明いたしました資料を添付いたしましたので、ご査収くださいませ。

また何かご不明な点などがございましたら、いつでもお申し付けください。

引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。

（署名）

期限を確認したい場合のメール

その場で聞きそびれた「回答期限」を、メールでさりげなく確認したい場合のフレーズです。

メール文例（一部抜粋）

（前略）

差し支えなければ、いつ頃ご回答をいただけそうか、目安だけでもお教えいただけますと幸いです。

（後略）

このように、「差し支えなければ」「目安だけでも」といったクッション言葉を使うことで、相手にプレッシャーを与えずに尋ねることができます。

メールを送る目的は、しつこく催促することではなく、あくまで相手の検討をサポートする姿勢を示すことです。感謝の気持ちをベースに、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

「検討します」を連発する上司を動かす！社畜の交渉術

中には、どんな提案をしても「うーん、検討します」としか言わず、なかなか決断してくれない上司もいるでしょう。このような上司を動かすには、少し戦略的なアプローチが必要になります。

重要なのは、上司が「検討」という名の思考停止に陥る原因を取り除き、判断しやすい状況を作ってあげることです。

選択肢を絞って提案する

漠然とした提案は、上司に「考える負担」を強いることになります。そうではなく、「A案とB案があり、それぞれにこのようなメリット・デメリットがあります。私は〇〇という理由からA案が良いと考えますが、いかがでしょうか？」というように、具体的な選択肢と自分の意見をセットで提示します。これにより、上司はゼロから考える必要がなくなり、YES/NOや、より具体的な指示を出しやすくなります。

判断材料を全て揃える

上司が「検討します」と言う背景には、情報不足への不安があるかもしれません。提案の際には、考えられるリスク、必要な予算、スケジュール、他部署への影響など、判断に必要な情報を先回りして全て提示しましょう。「これだけ材料が揃っていれば、あとは自分が決めるだけだ」という状態にすることが理想です。

感情的な訴えは逆効果

「この企画を通してください！」といった情熱や熱意だけを伝えるのは、多くの場合、効果が薄いです。ビジネスにおける説得の基本は、あくまで客観的なデータや事実に基づいた論理的な説明です。感情は、論理的な土台があって初めてスパイスとして機能します。

「検討します」と連発する上司は、優柔不断なのではなく、むしろ「失敗したくない」という気持ちが強い慎重なタイプなのかもしれません。その不安を取り除き、安心して決断できる材料を提供することが、最も効果的な交渉術と言えるでしょう。

回答がない場合の丁寧な催促フレーズ

「検討します」と言われた後、約束の期限を過ぎても連絡がない、あるいは期限を設けなかったためにどう動いていいか分からない、というケースは少なくありません。このような場合、相手を不快にさせずに状況を確認するための、丁寧な催促方法を知っておくことが重要です。

ポイントは、「催促」ではなく「ご状況の確認」というスタンスで連絡することです。

催促メールの例文

件名：〇〇の件に関するご確認（株式会社〇〇〇〇）

株式会社△△
部長 △△ 様

いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。

先日は、〇〇の件をご検討いただき、誠にありがとうございます。

その後のご状況はいかがでしょうか。
もし何かご不明な点や、追加で必要な情報などがございましたら、お気軽にお申し付けください。

お忙しいところ大変恐縮ですが、一度ご状況をお知らせいただけますと幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

（署名）

催促の際のキーフレーズ

「その後のご状況はいかがでしょうか」：最も標準的で使いやすい、相手の様子を伺うフレーズです。
「〇〇の件ですが、進捗いかがでしょうか」：より少し直接的に進捗を尋ねる表現です。
「念のためのご確認ですが～」：こちらが忘れていたと思われないよう、「忘れていませんか？」というニュアンスを和らげるクッション言葉です。

重要なのは、相手を責めるようなニュアンスを一切出さないことです。「お忙しいところ恐縮ですが」といった、相手への配慮を示す言葉を必ず添えるようにしましょう。

「検討してみます」と上手に付き合う術

これまで見てきたように、「検討してみます」という言葉は非常に多義的で、ビジネスコミュニケーションにおける一つの関門とも言えます。この言葉に一喜一憂したり、振り回されたりしないためには、上手に付き合うための心構えを持つことが大切です。

過度な期待をしない

まず基本として、「検討してみます」と言われた時点で、「実現可能性は五分五分」くらいに考えておきましょう。ポジティブな感触があったとしても、過度に期待しすぎると、断られた際の精神的ダメージが大きくなります。常に最悪のケース（＝お断り）も想定しておくことで、冷静に対応できます。

自分のタスクとして管理する

相手にボールを渡したからといって、自分の仕事リストから消してはいけません。「〇月〇日、△△様に□□の件で催促する」というように、具体的なフォローアップのタスクとして自分のスケジュールに組み込みましょう。これにより、確認漏れを防ぎ、主体的に案件をコントロールすることができます。

WEBライターの視点

究極的には、「検討してみます」という言葉を、相手の思考や状況を理解するための「貴重なヒント」と捉えることが、ストレスを溜めないコツです。なぜ相手は即決できないのか？何がネックになっているのか？それを探るゲームだと考えれば、少しは気が楽になるかもしれません。この言葉を乗りこなしてこそ、一人前のビジネスパーソンと言えるでしょう。

この言葉を単なる返事として受け取るのではなく、次の一手を考えるための「トリガー」として活用する。その意識を持つことが、「検討してみます」と上手に付き合う最大の秘訣です。